夜の秋葉原を目的もなくふらふらしてみた。
時間は夜の十時を回っていた。
僕は岩本町で用事を済ませそのまま帰宅するつもりだった。
しかし岩本町から目と鼻の先に秋葉原があるということを知った僕は、もしかしたら何か面白そうなものがあるかもしれない。僕の好奇心がアキバをひきつけだした。
このままいかずに帰っていいのか。そんな自問自答を繰り返し、どうせなら後悔しない道を選ぼうと決め、アキバへの道を決めた。
このとき僕の全財産は600円しかなかった。
金はないが時間はある。何か誘惑に負けたら明日食うものはなくなり、死ぬことになる。
勇気を振り絞り僕は秋葉原へ向かいだした。
最初に目に入ったのは中年サラリーマン6人ほどが駅前の居酒屋で円陣を組んでいる姿だった。甲子園の切符をかけた県大会優勝目前、9回ツーアウト満塁、ここを乗り切れば甲子園だ!そんな中気持ちを一つにするべくキャプテンを中心に集まり絶対優勝するぞと一致団結したかのようなそんな円陣を組んでいた。
それを横目にキャッチのお兄さんは中年にもなってなにやってんねんと冷やかしの目線を送っていた。
そんな光景を横目に僕はとぼとぼ歩き、絡まれないように気を付けていた。
次の関門は女子高生の制服を身にまとったかわいらしい女の子のキャッチの列だった。みんなそこらへんのポッとでのグラビアアイドルより容姿端麗であった。クラスにいたら男子が虫のように集まってきそうなレベルだ。しかし、これにひっかかってしまったら何万円というぼったくり被害にあうことに警戒して慎重に歩みを進めた。
なんてたって600円しかない僕だ。僕自身も大学のサークル勧誘を全スルーするという経歴の持ち主だから、通り抜けること自体に自信はあった。
女子高生の前を通り過ぎたとき、堂々となるべく足早に歩みを進め無事切り抜けることができた。
おそらく彼女たちも金を持っている人をかぎ分ける能力を身に着けているからか、声もかけるそぶりがなかった。
他にも熱心にゲーセンでアニメのキャラクターのハッピをきて一心不乱にUFOキャッチャーをするアラサー女子や、アイドルのライブ帰りであろう頭に鉢巻をまいた青年だったりや、ゴスロリの格好をした年配の方など、ほかの地域ではあまり見かけない人種がいてとても面白いものであった。
しかしこれで終わりにするのはもったいないので、お金があるときに深い秋葉原について知っていきたいと思う。
グンナイ。。。